異形地に建てられた「憩いの家」は、LDK一面に配された大きな窓から降り注ぐ光が心地よい、開放感あふれる空間が魅力の住まい。敷地を生かしたユニークな形状からは想像できないような、ゆったりとした心地の良い刻が流れます。

まずは敷地形状が異形の鋭角の利用しづらいスペースを無駄なく計画できるように、全方位の近隣住居からのプライバシーを意識して、住まいを快適にする方法の検討からスタートしました。西側大通りからの視線はモデルとしてのインパクトのある外観を意識しながら、市街地の中でも暮らしを楽しく、過ごしやすい住まいの設計をめざし、植栽を点在させながら建物全体が街のような雰囲気になるように。

南東側を充実した庭として活用できるようにLDKを設けつつ、ほぼ平屋として生活出来る住まいを検討し、主寝室や収納も合わせて１階に。異形の敷地を無駄なく活用できるよう、LDK・寝室・水回りをずらしてゾーニングし、残る部分を庭や明るさを取りこむ余白として設けました。

すこしずつズレたボックスの余白に庭を設けることで、各ゾーンは外部環境を取りこみ、他を意識することなく住まう人の居場所を楽しむことが出来るように。環境を読み解き、敷地を最大限に活用した中から生まれる憩いを点在させることで、どこにいてもゆとりある豊かな住まいを目指しました。

大小の箱型の空間が連結するように配置された外観。水平の屋根も相まって、多用された直線がモダンな雰囲気を演出します。玄関へは北側道路からと駐車スペースのある北東側からの２つのアプローチが繋がっています。

建築中央に配された玄関。建物の一部をくり抜いたような構造にすることで庇を内包し、すっきりとした外観と利便性を叶えています。扉を開けると広がるのは間仕切り壁を持つ大きな２way玄関。外から見た時にシューズクローク側が隠れるので、来客時にすっきりとした印象を保てます。収納にはシューズのみならずハンガーポールも設置することで、ジャケットやコートなどのアウターを脱ぎ着することができ、チリや花粉の室内への侵入を防ぐことができます。

玄関を抜けると広がるのは１８畳の広々としたLDK空間。LDKの長辺を庭に接するように計画することで開放感のある空間に。リビング部分の吹き抜けとも相まって光が広がる明るいLDKとなっています。また、テレビ背面の壁面をリビング階段にすることで空間を効率的に活用。踏み板より上の部分をアイアンの手すりにすることで抜け感をプラスし、吹き抜け上部に向かって開放感が増すような、ダイナミックな空間に仕上げました。

リビングに隣接するダイニングスペース。ダイニングテーブルをキッチンカウンターに直付けすることですっきりとした印象に。ペンダントライトを細長いシルエットにすることで空間に奥行きをプラスしています。ダイニングにはスタディスペースを配置。子供の勉強をサポートできるスタディスペースをリビング近くに設けることで、子供の学習を見ることができ、コミュニケーションが取りやすくなります。

キッチンは人気のペニンシュラ型を採用。対面式なので作業中も家族とのコミュニケーションがとりやすいうえ、視線の抜けもあってLDKをよりすっきりとした空間にしてくれます。キッチンカウンターの奥にはパントリーを用意することで食品や日用品のストックをすっきりと収納。キッチンを綺麗な状態に保つことができます。

LDKから直接アクセスできる広々とした庭は第二のリビングとして大活躍。緑とタイルテラスを組み合わせて、明るく爽やかなお庭に。タイルテラスのみだと無機質で寂しい空間になりがちですが 植栽を取り入れることで室内からの眺めも柔らかい印象になります。

１階にはLDKのほかに主寝室も配置。１階に寝室を設けることで平屋のような利便性の高い生活動線を実現しました。寝室には間接照明を取り入れることで、ホテルライクな高級感を演出。北面に配された窓からは季節や時間に関係なく安定した光量を得られるうえ、直射日光が当たらず日中でも室温の上昇がゆるやかで、室温が暑くなりすぎずに適温を保つことができます。

寝室横にはリモートワークができる書斎スペースを設置。窓の先には坪庭の風景が広がり、程よいリラックス感で作業に集中することができます。

開放感あふれるLDKが魅力の１階からリビング階段を上がった２階には、プレイスペースと子ども部屋を配置。１階から続く南側に設けられた吹き抜けによって開放感と明るさを２階にも取り入れます。また、一面に設けられた可動式の収納棚によって、子どもの成長に合わせたカスタマイズが可能に。収納を個室ではなく共有スペースに設けることで、個室のスペースをより広く確保することができるのもメリットです。

子ども部屋はコンパクトながら横長の高窓によって多くの自然光を室内に取り入れることができ、明るく開放的な空間を作り出すことができます。一面にはアクセントクロスで遊び心もプラス。シンプルながらあたたかみが感じられる空間です。

横並びの洗面スペースにも窓を設けることで、慌ただしくなりがちな朝の身支度も心地の良い光に包まれながら行うことができます。また、脱衣兼ランドリースペースを設けて室内物干し場として利用することで、洗濯物を持って移動する必要もなくなり、スムーズな家事導線を実現しています。

計算された生活動線と徹底した効率的な空間活用によって、家族の豊かな暮らしを支える「憩いの家」。外部環境をうまく取りこみ、敷地を最大限に活用した中から生まれる憩いを点在させることで、どこにいてもゆとりが感じられる豊かな住まいとなりました。